アジアIR投資 富裕層に照準を当てたカンボジアと日本

中国では、習近平国家主席が2012年に倹約令を出した煽りを受けて、マカオがマネーロンダリング規制を強化した。
その煽りを受けて、マカオでカジノに興じていた中国人富裕層たちは2010年に開業したシンガポールへと赴くようになった。

アジア各国の情勢とシンガポール政府の後押しにより、シンガポールのIRは成功した。これを受けて、カンボジアは観光振興の売り物にカジノを据えた。
カンボジアの首都プノンペンの中心部にナガコープが運営するIR「ナガワールド」がある。カジノには中国人ツアー客が殺到しているのだが、熱帯モンスーン気候ということもあり欧米カジノのようなドレスコードはなく短パンやTシャツなどで楽しむことができる。

ナガコープの2018年カジノ収入はVIP(富裕層)が売上げの7割をけん引しており、前年比で55%増加しているという。モルガン・スタンレーの調査によると、カンボジアの2018年のVIP収入は11億ドルと5年前の10倍超となり、フィリピンは12億ドルと2.4倍になっている。

富裕層が流れてしまったマカオだが、一般客はVIPに比べ1人当たりの賭け金は少ないが利益率は高いとされている。中国広東省と香港、マカオを結ぶ海上橋が開通したこともあり、カジノ運営大手のSJMホールディングスが年内にホテルやシアター、ショッピング・モールなどを充実させた新施設を開業し、銀河娯楽集団も大幅な拡張を計画している。

2019年5月にマカオで開かれたカジノ産業見本市「グローバル・ゲーミング・エキスポ・アジア」では日本が注目を集めた。
2020年以降に日本国内で最大3カ所にIRを開業させる方針を日本政府は示しており、世界の名だたるカジノ運営大手が日本参入を狙っている。

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