海外カジノ運営会社 日本のIR実施法の与党合意を歓迎

自民党と公明党は、カジノを含む統合型リゾート(IR)実施法案の主要項目であるカジノ施設をIR施設の床面積の3%以下とし、運営会社の納付金率を30%の定率にすることなどが決まった。ただ、公文書改ざん問題などで揺れる今国会で同法案が成立するか予断を許さない。

富裕層が多く海外旅行者の増加も著しい日本は、カジノ運営会社にとって、将来性のある市場の1つとなっている。

アジアで主要なマーケットになるとみられていたシンガポールでは、10年以上前にカジノが解禁され、カジノ運会社2社が巨大な収益を生み出している。アナリストの試算によると、日本に2カ所のカジノができるだけで、年間100億ドルの収益が見込める。この潜在的マーケットに、米リゾート大手ラスベガス・サンズ、カジノ運営MGMリゾーツなどが強い関心を示している。

カジノ運営会社にとって最大の朗報は、与党合意でカジノ施設を商業施設や会議場を含めたIR施設全体の床面積の3%以内とすると決まったこと。公明党は、絶対値としてカジノ施設を1万5000平方メートル以内にすることを主張していた。カジノ運営会社の幹部は昨年来、面積の絶対値の上限を設けないよう議員らに訴えていた。もし上限を設定するなら投資額を下げざるをえず、経済効果も限定的になると主張していた。

CLSAのアナリスト、Jay Defibaugh氏は「最初は1カ所だけの都市型リゾートで開始、おそらく大阪となる可能性が強くなってきた」と見通しを示す。 同氏は、日本における初期のIRの姿は、かつて自分たちが予想していたのとは違うものとなりそうだ、と話した。

与党合意では、日本人と居住者のカジノの入場料を6000円とすることになった。公明党が主張したシンガポール並みの8000円より低く設定された。海外旅行者の入場は無料。高い入場料の設定は、ギャンブル依存症を懸念する野党への配慮が反映されている。共同通信の3月調査によると、日本人の65%がカジノに反対と回答、賛成は26%だった。一方、日本の富裕層を狙うカジノ運営会社は、入場料を課すことにも反対している。6000円でも事業に影響があるとの見方も聞かれる。ある大手運営会社の幹部は「最大の問題は入場料。ギャンブルが大好きな人以外は、カジノに行こうと思わないだろう」と語った。

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